どもコムヨシです。
今回は死生観について前回記事の「宗教学死生学入門」の第3回目の講義の続きです。前回の記事はこちらからどうぞ↓
前回の記事では、世界宗教と呼ばれる宗教の死生観や死後世界観をザックリと学びました。
今回は、「日本人と死後世界」についてまとめてみます。
いってみましょう!
日本の民族世界特有の死後世界
「死後世界」と聞いて、日本人であるあなたはどんなイメージをもたれるでしょうか。
色々なイメージがあると思いますが、その前に、民族と文化の関係について知る必要があるみたいなんで、確認してみましょう。
民族とは、文化とは
民族とは、
- 人々の伝統的な文化
- 民間の習俗
- 民族の伝承文化
であり、
文化とは、
- 生活様式
- 長年にわたり民族が伝承発展させてきた「知」
- 民族知=民族が培ってきた経験則
経験則っていうのは、試行錯誤の末に見出した法則性です。
これを踏まえて、日本人は死に対してどんな経験則を発見してきたのかを見てみましょう。
死を感じさせる出来事(死の予兆)
死者が出た時に、実際起こった出来事に因果関係を当てはめる的なことです。
ちょっとわかりにくいと思いますが、具体例をあげればなるほど!と思うはずです。
例えば、
- 墓地で転ぶと死ぬ
- 「お迎え」を見ると間もなく死ぬ
- 影が薄くなる死ぬ
- カラスの鳴きが悪いと死ぬ
- 敷地内の松が枯れると死ぬ
- 出棺時に馬が泣くとさらに死者が出る
- 墓に備えた枕団子が食われないとさらに死者が出る
こんな感じで、地域差はあるかもしれませんが、なんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか。
〇〇の出来事が起こると死ぬ、という感じで、その出来事と死を因果関係で結ぶということですね。
こう言った「経験則」を日本人は創造してきました。
死後に見る行為
それでは、人が死んだ後にみられる文化にはどのようなものがあるでしょうか。
家族や大切な人が死んだ際、
- 魂呼ばい(タマヨバイ)
というものがあるらしく、これは、臨終直後の死者の蘇生を願った行為なのだそうです。
これは「霊肉二分論」という思想が前提になっています。
霊肉二分論っていうのは、死後、魂は人の体から抜けてどこかへいく、という思想です。
この魂呼ばい、ボクは初めて聞きましたが、地元青森県にある霊峰「恐山」でも行われているようで、必ずしも臨終直後の行為ではないようですね。
その他にも、屋根に上って叫ぶという地域もあるようです。
死後世界との距離感が近い
前回の記事で少し触れましたが、日本は「高天原」「現世」「黄泉の国」の世界が別々に存在するのではなく、シームレスに関係しているということを学んだように、日本人の死生観は、「死者の世界と親しい」というのが特徴的らしいです。
その他にも、
- 臨死体験
- お迎え
- 生まれ変わり
- 口寄せ
などが挙げられていますが、口寄せはもしかしたらあまりピンとこない人が多いのかなと思うので、口寄せについて簡単に説明しておきます。
口寄せとは
口寄せと聞いて思い出すのは漫画ナルトですよね。
自分たちがいる時空とは別次元の時空間から、特定の誰かを呼び寄せる忍術として描かれていました。
今回取り上げている口寄せも、ほとんど同じで、(というかボクもあまり詳しくは知りませんが)「イタコ」と呼ばれる人に死者の霊を降ろし、イタコの口を借りて霊との交流を図るものです。
- 死亡原因
- あの世での生活
- 生者の守護
- 今後の接触の約束
こんなことを主な話題として交流するのだそうです。
このイタコという文化は青森県が多いらしいんですね。
そう言われると、地元でも「いだご祭り」(イタコがなまった表現)がありました。イタコの高齢化で開催されなくなったみたいですが、全国的な文化ではなかったというのは今回の講義を受けるまで知りませんでした。
ちなみに、先ほど紹介した恐山では今でもイタコはおられるそうです。
青森県になぜイタコが多いのかとか、そういう文化が根付いたのか、とても興味深いところですよね。
現世と死後世界はシームレス
ここまで見てきたように、日本における死後世界と現世との繋がりは世界宗教のそれと比べて、かなり親しい関係性を持っているということがわかります。
仏教でいう「地獄」と比べるとニュアンスがかなり違うようです。
ちょっとそれますが、漫画ドラゴンボールは日本人の死生観にも大きな影響を与えているという考察もされていました。
ドラゴンボールで死人が生き返ることはよくご存知のことだと思いますが、良い悪いは別にして、あの世との行き来がとてもスムーズで面倒なことではない印象を強く与えてくれています。
こう言った思想が育まれやすい、というのも日本の特徴なのかもしれませんね。
民族として日本人がこう言った特徴を持っているというのはとても刺激的な学びとなりました。こういうことを知識として知っておくのはとても大切なことだな〜って感じました。
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